そのあいだにも、X号が何を考え、何を計画しているか、それを知ろうとして、目が見えないながらも、しょっちゅう気をくばっていた。
 博士は、ある日、この研究所の建物の中で急にさわがしい声がし、多くの足音が入りみだれ、階段をかけあがったり、器物が大きな音をたてて、こわれたりするのを耳にした。
 そのときは、博士のそばにX号がいなかったが、やがてX号は、ぜいぜい息を切って博士のそばへもどってきた。
「ああ、苦しい。せっかく死刑囚のからだを手に入れてこうして使っているが、このからだは悪い病気にかかっていて、心臓も悪いし、腎臓《じんぞう》もいけないし、いろいろ悪いところだらけだ。これじゃあ思うように活動ができやしない。ああ、苦しい」
 X号は腹を立てて、寝椅子《ねいす》の上にころがり、ふうふうぶつぶついうのだった。
 博士は、隅《すみ》っこの破れ椅子に腰をうずめ、息をひそめて、X号のつぶやきに聞き耳をたてている。
「きっとやって来るだろうと思ったが、やっぱりやって来やがった」と、X号はひとりごとをつづける。「このあいだのちんぴら少年どもが、警察に知らしたのにちがいない。あの少年どもはうるさいやつら
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