へおりる階段が見える、これが秘密通路《ひみつつうろ》だった。
谷博士だけしか知らないこの秘密通路をX号はちゃんと知っていた。なにしろX号はなかなかするどい観察力を持っていたから、いつのまにか、この秘密通路や、その下にある秘密の部屋部屋を見つけてしまったのであろう。
X号は博士の世話を、ほかの者にはさせず、みんな自分がした。
博士は、病院から連れだされるとまもなく、この誘拐者《ゆうかいしゃ》がX号であることを知って、おどろいた。
博士は、それ以来、X号にさからわないようにつとめた。また、なるべく口をきかないことにきめた。X号は博士がこしらえたものであるから、博士はX号の性格についてよく知っていた。智力《ちりょく》の点ではX号は人間以上である。いわゆる「超人《ちょうじん》」だった。そのかわり、人間らしい愛とか人情にはかけていた。それがおそろしいのである。博士は、X号のために、これからどんな目にあわされるかと、大危険を感じているのだった。
目の不自由な博士のことであるから、こうしてX号と同居していて、自分の身をまもることに大骨《おおぼね》が折れた。だが忍耐《にんたい》づよい博士は、
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