超人間X号
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)大雷雲《だいらいうん》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)測定|当直《とうちょく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)あれ[#「あれ」に傍点]はどこにどうして
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大雷雲《だいらいうん》
ねずみ色の雲が、ついに動きだした。
すごいうなり声をあげて、つめたい風が、吹きつけてきた。
ぐんぐんひろがる雲。
万年雪をいただいた連山の峰をめがけて、どどどッとおしよせてくる。
ぴかり。
黒雲の中、雷光《らいこう》が走る。青い竜がのたうちまわっているようだ。
雷雲はのびて、今や、最高峰の三角岳《さんかくだけ》を、一のみにしそうだ。
おりしも雷鳴《らいめい》がおこって、天地もくずれるほどのひびきが、山々を、谷々をゆりうごかす。三角岳の頂上に建っている谷博士《たにはかせ》の研究所の塔《とう》の上に、ぴかぴかと火柱《ひばしら》が立った。
つづいて、ごうごうと大雷鳴が、この山岳地帯の空気をひきさく。
黒雲はついに、全連峰をのみ、大烈風
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