が……」
 博士のことばに、少年たちはたがいに顔を見あわせた。分かるようでもあり、あまりふしぎで、よく分かりかねるところもあった。そのことを博士にいうと、博士はうなずき、
「そうであろう。わしの話は、よほどの専門家にも分かりかねるところがあるんだ。だから君たちにも分からないのはむりでない。しかし、わしが生物を人造《じんそう》することに成功したということを、まず信じてくれれば、これで話の要点は分かったことになるんだ」と、博士は熱心に語った。
「さて、わしは、金属材料《きんぞくざいりょう》ではなく、人工細胞《じんこうさいぼう》を使って、電気臓器を作りあげた。これは脳髄《のうずい》だ。その他のあらゆる臓器を一つところに集め、そして人間の臓器よりもずっとよく働くように設計してある。それはうまくできあがった。しかし困ったことに、それは生きてはいたが、まるで気絶《きぜつ》している人間同様に、意識というものがなかった。それでは困る。せっかく作った電臓《てんぞう》が、いつまでも気絶状態をつづけていては役に立たない。そこで、どうしたら、この電臓の意識を呼びさますことができるか、それを考えたのだ。分かるか
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