に、ひそかに名まえを用意しておいた。“超人間X号”というのがその名まえだ。超人間だから、君たちがいく人かかっていっても、あべこべにやっつけられる。だから、手をひいたがいい」
博士は、あの怪物が、どうやら超人間X号であるらしいことをものがたり、そして話したあとで、ぞッと身ぶるいした。
五人の少年たちも、この話を聞いて、急に不安な気持ちになった。
死刑台《しけいだい》の怪影《かいえい》
「先生。その超人間X号というのは、いったい何者かんですか、どうしてそんな怪物が、この世の中にすんでいるのですか」
戸山少年は、谷博士にたずねた。
「じつは、超人間X号をこしらえたのは、わしなんだ。わしが研究所で作りあげた人工の生物なんだ。それは電気臓器《でんきぞうき》を中心にして生きている、半斤《はんぎん》のパンほどの大きさのものなんだ。この電気臓器をつくることについて、わしは長いあいだ研究をかさねた。そして完成したのは、この春のことだった。あらゆる高等生物は、親のからだから生まれてくるが、超人間X号は、わしの手で作ったのだ。ちょうどラジオの受信機を組みたてるようにね。分かるね、わしの話
前へ
次へ
全194ページ中45ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング