士はあたりをはばかるような声で、少年たちにたずねた。
「もう例の事件がおこってから十三日めになるが、犯人はつかまったかね」
「いえ、まだです」
「いま、どこにいるんだか、分かっているの」
「国境《くにざかい》あたりまでは、追っていったんですが、そこで見うしなって、そのあと、どこへ行ったか、あの怪しい機械人間の行方は分からないのだそうです」
「それは困ったな。すると、ゆだんはならないぞ」
「ぼくたちも、なんとかしてあの怪物をつかまえたいと思って、五人集まって探偵をしているんですが、まだなんの手がかりもないです」
「それはけっこうなことだが、諸君はあの怪物とたたかうのはやめなさい。たいへん危険だからね」
「危険はかくごしています。とにかくあんな悪いやつは、そのままにしておけませんからねえ」
「だが、君たちは、とてもあの怪物とは太刀《たち》うちができないだろう。いや、君たち少年ばかりではない。どんなかしこい大人でも、あれには手こずるだろう。もしもわしの予感があたっていれば、あれは、超人間《ちょうにんげん》なんだ。超人間、つまり人間よりもずっとかしこい生物《せいぶつ》なのだ。わしは、あれのため
前へ
次へ
全194ページ中44ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング