ね、ここらの話が……」
 博士は、見えない顔を左右に動かして、少年たちの様子をうかがうのであった。
「ぼんやり分かりますよ」
 少年は、正直《しょうじき》に返答した。
「ほう。ぼんやりでも、分かってくれると、わしはうれしい。……そこでわしは、電臓に意識をつけるために電撃《でんげき》をあたえた。三角岳《さんかくだけ》へおしよせてくる大雷雲《だいらいうん》を利用して、あの電臓へ、つよい電気の刺戟《しげき》を加えたんだ。これが成功するか失敗するか、どっちとも分かっていなかった。しかしわしは、大胆《だいたん》にその実験をやってのけたのだ」
 博士のことばは、だんだん熱して来た。
「ところが、意外にも、研究所の中に大爆発《だいばくはつ》が起こった。ひどい爆発だった。まったく予期《よき》しない爆発だ。わしは一大閃光《いちだいせんこう》のために、いきなり目をやられた。わしの脳は、千万本の針をつっこまれたように、きりきりきりと痛んだ。ああ……ううーむ」
 ここまで語って来た博士は、いきなりその場にもだえて、椅子から下へころがり落ちた。
 さあ、たいへんである。少年たちは、博士を助けおこす組と、医局へ走
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