したのは……」
そういったのは、例の五人の少年の中のひとりである戸山君だった。彼の指さす方角に岩山があって、その岩山に腰をかけて、こっちを見おろしている怪物があった。それこそ例の機械人間であった。
「あ、あいつだ。あいつが、この大椿事《だいちんじ》をおこしたんだ。あいつを捕《とら》えろ」
「警察へ電話をかけて、犯人がここにいるからといって、早く知らせるんだ」
「だめだよ。電話どころか、庁舎も下の方へ流れていってしまった」
「おお、そうだったな。それじゃあ、みんなであの怪しいやつを追いかけよう。棒でもなんでもいいから、護身用《ごしんよう》の何かを持ってあいつを追いかけるんだ」
「よしきた。おれが叩《たた》きのめしてやる」
おいおいそこへ集まって来た木こり[#「こり」に傍点]や炭やきや、用事があってそこを通りかかっていた村人も加わり、怪しい機械人間を追いかけていった。が、彼らはまもなく、青くなってにげかえって来た。
「ああこわかった。あれは、ただの人間じゃないじゃないか。すごい化物だ」
「もうすこしで、おれは腰をぬかすところだった。おどろいたね、みそ樽《だる》ほどもある岩を、まるでまり
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