き。
「おやッ」
と大池と江川が顔を見あわせたとき、二人の少年がかけこんで来た。
「たいへんですよ。機械人間が今、ダイナマイトの箱をダムに叩きつけたんです。ダムは決潰《けっかい》して、ものすごい水が下へ大洪水《だいこうずい》のようになって落ちていきます。たいへん、たいへん。早く出て来てください」
たいへんだ。あの怪しい機械人間は、あっさりダイナマイトをダムにぶっつけて、巨人ダムをひっくりかえしてしまったらしい。二人の所員は、その場に腰をぬかしてしまった。
怪物《かいぶつ》の行方《ゆくえ》
「あッ、たいへんだ。早く、ふもとの村へ危険を知らせるんだ」
「どこへ一番はじめに、電話をかけますか」
「どこでも早くかけろ」
「じゃあ、第二発電所を呼びだしますか」
「だめだ。もうあのおそろしい水は、第二発電所へぶつかって、おしつぶしているだろう。南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》だ。もっと下へ電話で危険をしらせろ」
「じゃあ、どこへかけりゃいいんですか。はっきりいってください」
「おれはよく考えられないんだ。君、いいように考えて電話をかけてくれ」
「困ったなあ」
「あッ、だれか鐘をなら
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