だすぞ」
江川が機械人間の手から赤鉛筆をもぎとった。大池は機械人間を突きとばした。
機械人間は、びくともしなかった。大池の方が腕を痛めて、痛そうにさすっていた。
「私のいうことは正しい。うそと思うなら、私について来なさい。私は、ダム建設の失敗箇所《しっぱいかしょ》へダイナマイトをあててみる。それでこのダムがひっくりかえったら、私のいったことは正しいのだ。来たまえ、諸君」
「きさまは化物であるうえに、気も変になっているんだな。いったいだれがこの機械人間をあやつっているのだろう」
「早く来たまえ。このダムはかんたんにくずされるのだ」
「はははは。何をいうんだ。おどかすな。見に行ってやることはないよ」
「ちょっと大池君。あの化物が手に持っている箱には、ダイナマイトと書いてあるぜ。本物のダイナマイトを持っているんなら、たいへんだぜ」
「なあに、よしや本物のダイナマイトであろうとも、ダムがひっくりかえるなんてことはないさ。とにかくあの化物を遠くへ追いはらう必要がある――」
といっていたとき、とつぜん天地はくずれんばかりに振動し、それにつづいて腹の底にこたえる気味のわるいごうごうの響《ひび》
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