「ぼくは、戸山です」
「おお、戸山君か。戸山君、わしを機械人間の制御台のところへ早くつれていってくれ。おねがいする」
「いいですとも。その制御台というものは、どこにあるのですか」
「この部屋の……この部屋の階段の右手に、奥にひっこんだ戸棚《とだな》がある。そのまん中あたりに立っている横幅《よこはば》二メートル、高さも二メートルの機械で、正面のパネルは藍色《あいいろ》に塗ってある。それが制御台だ」
「ああ、それは、めちゃめちゃにこわれています。まん中と、そのすこし上とに、砲弾《ほうだん》がぶつかったほどの大穴があいて、内部の部品や配線がめちゃくちゃになっているのが見えます。あんなにこわれていてはとても働きませんね」
「うーん、それはたいへんだ。だれがこわしたのかしら。するといよいよおかしいぞ。機械人間《ロボット》は、ひとりで上に動きだすはずはないのだ。いや、待てよ。地階《ちかい》の倉庫《そうこ》に、古い型の制御台が一つしまってあった。あれをだれかが使って、機械人間をあやつっているのかな」
「それなら地階へいってみましょうか」
「おお。すぐつれていってくれたまえ。ここから見えるはずの階段
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