がその機械人間を動かしているのか。制御台《せいぎょだい》のところへ行ってみれば、分かるんだが、ああ、わしは目が見えない」
谷博士は、前に立っている機械人間を、自分の作製したものであると認めたのであった。が、それにつづいて起こった疑問は、目の見えない博士をどんなにいらだたせたかしれない。
博士が、ものをいったので、戸山少年はわれにかえって、博士のそばに寄りそった。
「この機械人間はおじさんがこしらえたのですか。おじさんはえらい技術者なんですね」
「おお、君。わしのため力を貸してくれんか」
博士は、戸山のほめことばに答えず、急に気がついたように少年にそういって、手さぐりで少年の肩をつかんだ。
「ああ、いいです。ぼくたち、よろこんでおじさんのために働いていいですよ。そのかわり、あとで、もっとくわしく機械人間《ロボット》の話をしてください。そしてぼくたちにも、機械人間を貸してください」
「それは、わけないことじゃが――ああ、今はそれどころではない。ただ今、わしの目の前においてふしぎなことが起こっている。そのふしぎの正体を急いでつきとめなくてはならない。君――なんという名まえかね、少年君」
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