は、ものめずらしさに機械人間の運動にすいつけられていた。
(すごいなあ!)
(よく動くねえ。人間がからだを動かすのと同じことだ。どんなしかけになっているのかしらん)
(こういう機械人間を一台買って持っていると、いろいろおもしろいことをやれるんだがなあ)
少年たちの頭の中には、思い思いの感想がわきあがっていた。
ところが谷博士の方は、少年たちのように明かるく機械人間《ロボット》をながめてはいなかった。もっとも博士は視力《しりょく》をうしなっているので、見えるはずはなかったが、しかし博士は、見えない目を見はり、両方の耳たぶに手をあてがって、機械人間の発する足音や、動きまわる気配《けはい》に、全身の注意力をあつめて、何事かを知ろうとあせっている様子だった。
博士の顔は蒼白《そうはく》。ひたいには脂汗《あぶらあせ》がねっとり浮かんでいる。耳たぶのうしろにかざした博士の手が、ぶるぶるとふるえている。いや、耳たぶもふるえている。博士のからだ全体がふるえている。博士の息は、だんだんにあらくなっていく。唇がわなわなふるえる。
「……たしかに、わしの作った機械人間にちがいない。だが、ふしぎだ。何者
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