く探してみてください。そのぶよぶよした海綿みたいなものを、どうか見つけてください。それが見つからないと、ああ、たいへんなことになってしまう」
「そんなものは、どこにも見えませんよ」
「ほんとですか。ああ、目が見えたら、もっとよく探すのだが……」
「そのぶよぶよした海綿みたいなものというのは、いったいなんですか」
「それは……それは、私が研究してこしらえた、ある大切な標本《ひょうほん》なのです」
「標本ですか」
「そうです。その標本は、生きているはずなんだが、ひょっとすると、死んでしまったかもしれない」
「動物ですか」
「さあ、動物といった方がいいかどうか――」
そういっているとき、がっちゃん、がちゃんと音がして、階段の上からおりて来る者があった。
少年たちは、その方をふりかえって、思わず「あッ」といって、逃げ腰になった。
階段をおりて来たのは、ものすごい顔かたちをした機械人間《ロボット》であった。
「おや、機械人間が、ひとりでこっちへ歩いて来るぞ。これは奇妙《きみょう》だ」
盲目の谷博士は、首をかしげた。博士はたくさんの機械人間を、この建物の中で使っていた。それを機械人間何号と
前へ
次へ
全194ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング