じまったろう」
「死んじまったって。そんならたいへんだ。みんなで中へはいって、調べてみようじゃないか。そして、もしかしてだれか生きていたら、その人はきっと重傷をしているよ。ぼくたちの手で、すぐ手あてをしてやろうよ」
「うん。それがいい。じゃあ、あの建物の中にはいってみよう」
「よし。さあ行こう」
 五人の少年たちは、研究所のこわれた戸口から、中へはいっていった。
「あっ、たいへんだ。中が、めちゃめちゃにこわれているよ」
「どうしたんだろうねえ。この建物は、なにをするところなの」
「なんとか研究所というんだから、なにか研究をするんだろう」
「ここは、有名な谷博士の人造生物研究所だよ。ぼくはおとうさんから聞いて知っているんだ」
 戸山という少年がいった。戸山は、この少年団のリーダー格であった。あとの四人の少年もみんな同級生であった。きょうはいいお天気であったので、三角岳登山を試みたのであったが、途中で雷に出あい、洞穴《どうけつ》の中にとびこんで雷鳴《らいめい》のやむのを待った。そのうちに雷鳴ははげしくなり、前方に見えるここの塔の上に落雷したのを見た。
 やがて雷雲が行きすぎたので、五人の少
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