い、着物をくれ」
「はい……」
 機械人間は、そばのテーブルの上においてあった博士の着物をとって渡した。じつにべんりな機械である。人間ならば、こんな真暗闇《まっくらやみ》の中では、何も目に見えないし、一歩も歩けはしないのに、この機械人間は、ちゃんと迷いもせずに、歩いたり、品物を見つけたりするのである。
「サルはどうしている。食物はよく食べているかね」
「はい。どうしておれを、こんな檻《おり》の中へ入れるんだ、などといって、大あばれにあばれておりますが、大丈夫ですよ。くたびれて寝てしまったようです」
 このふしぎな場所では、機械人間ばかりか、ふつうの動物や植物、いや生命を持たない道具までが、動いたり、話したりするのであったから、サルが話をするというのも、けっしてふしぎはないのであるが……。
「では、あすの準備はよろしくたのむ」
「承知しました」
「それでは寝てよろしい」
「お休みなさい」
 機械人間はピョコリと腰をかがめて一礼すると、扉を開けて、廊下へ出て行った。
「さあ、寝る前に、いっぺん、サルにあいさつをしておこうか」
 博士は、ぶきみな笑いを、唇のあたりに浮かべると、実験室の壁の前
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