ために、こんな恐ろしい目にあわされているのではなかったのである。
 広い実験室には、博士のほかに、人一人見えはしなかった。ただ一人の機械人間《ロボット》が、機械の前に立っていただけであった。
 しかし、ふつうの人間ならば、百万ボルトの高圧電流を頭にあびては、一分、いや一秒でも、生きていられるはずはないのに、博士は平気で、にたにたと悪魔のような笑いを浮かべているではないか。
 しかも博士は、高い天井《てんじょう》から吊《つる》したロープの端の輪に両足をかけ、機械体操の要領《ようりょう》で、さかさにぶらさがっているのである。
 そのような恐ろしい放電は、六分ぐらいつづいた。
「もうよかろう、電気をとめてくれ」
 博士はひくい声でうめいた。
「先生、もうよろしいですか」
 機械人間は、念をおして、機械のスイッチを切った。
 実験室の中は一瞬、深い暗闇《くらやみ》に包まれたが、これはどうしたことだろう。博士の全身は夜光虫《やこうちゅう》のように、ボーッと青白い光りを放ち、髪の毛は針ねずみのように逆立《さかだ》って、その一本一本からは、ぱちぱちと音を立てて、ものすごい火花が飛んでいるではないか。
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