せしますわ。あなたがた、どうぞこちらの方へ、道を引きかえしていらっしゃってください」
そういう声とともに、その立ち木は枝をぐっと曲げた。それは人間が、腕をさしのばして道を教える恰好《かっこう》と同じに見えた。
「たははは」
「うふふふふ」
二人の大学生は、その場に腰をぬかしてしまった。彼らは、山の中で、お化《ば》けの木に出あったと思ったからだ。この次は、二人ともこのお化けの木にたべられてしまうだろう。
「ほほほほ」と、お化けの木は、枝をゆるがして葉をさらさらとふるって笑った。
「ここは、三角岳のメトロポリスです。あなたがたは、ここへいらっしゃったら、世界第一の文化都市へ来たとお思いにならないといけません。私たち路傍《ろぼう》の立ち木にも、人間の脳髄と同じような考える器官もあれば、発声の器官もあるのです。これはみんな市長の谷博士がこしらえて、私たちにつけてくだすったのです」
大学生はおどろいて、引きかえした。立ち木が人と同じような感覚を持っているなんて、そんなことがあっていいだろうか。もっとも谷博士の人工電臓《じんこうでんぞう》のことを知っている者なら、それがうそではないと思うだろ
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