ひょう》を見つけ、その方向へどんどん歩いていらっしゃれば、まちがいなく、三角岳研究所の下へでます。お分かりですか」
「どうもありがとう」
 二人の大学生は、話の途中で、その声がうしろの立ち木の中から聞こえてくるのに気がついた。二人はその前まで行って、木を仰《あお》いで礼のことばをいった。ふしぎなことだった。
「失礼ですが、お嬢さんは、どこにいて、われわれを見ていられるのですか。お嬢さんの声が、この木にとりつけてある高声器《こうせいき》からでて来ることは分かっていますがね」
 と、山田君は、立ち木に話しかけた。彼の考えでは、遠くの場所に、そのお嬢さんが望遠鏡を持って、こっちを見ており、道に迷った人を見つけると、電話のスイッチを入れ、電話装置でわれわれに話しかけるのだと思った。
「私は、ここにいます。あなたが見ていらっしゃる一本の立ち木こそ、私の姿です」
 女の声は、そういった。しかしそんなばかばかしいことを、大学生たちは信じかねた。木が人間の声をだすなんて、おとぎばなしだ。
「ほほほ、私のいうことを、うそだと思っていらっしゃるのね。では、もっとはっきりお分かりになるように、私は動いておみ
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