戸山君がそのスイッチを切った瞬間だった。
 機体はズシーンというはげしい反動を感じて、ぐらぐらと揺《ゆ》れたのである。
「先生、いまのはいったいなんですか」
「ロケットがとびだした反動だよ。前のスクリーンには何も見えないかね」
 はたして博士のことばどおり、そのスクリーンの上には、うしろからものすごい白煙《はくえん》をはきだして、青空を横切って飛んで行く、砲弾の形をしたロケットがうつったのである。
「さあ、全速力であのロケットを追いかけて、原子ロケット砲で撃墜《げきつい》しよう。わしを助けて、操縦席に坐らせてくれ。それからみんなにここへ来るようにと……」
 博士は血の出るような声を、ふりしぼって叫んだ。


   X号の最期《さいご》


 山形警部と五人の少年は、喜んでこの部屋へかえって来た。そしてX号をのせて飛びだしたロケットを追って、大わらわの活動がはじまったのである。
 一人は電波探知機《でんぱたんちき》でロケットの位置を測定、二人は頭のきずのいたみにうなっている博士を助けてこの航空船の操縦、三人は原子ロケット砲の射撃準備と、攻撃の体制《たいせい》はまったく完了《かんりょう》した。
 ――敵のロケットは、いま高度六千、サハラ沙漠《さばく》の上空を東進中、速度千七百キロ――
 一人の少年が、電波探知機を見つめて報告した。
「どうしたのか。大分敵は速度がにぶったな。よし、全速力にて追撃《ついげき》せよ――」
 博士は頭を両手でおさえながら命令した。
 X号をのせたロケットは、この航空船をはなれるが早いか、方向をかえて、こちらと反対の方向に全速力で逃げだしたので、大分距離も離れたが、何しろこちらの方が早いので、その距離はぐんぐんと接近して来た。
 ――敵との距離はあと六百キロ、敵の高度は、地上三百メートルにさがっています。――
 またも電波探知機の方から報告があった。
「おかしいな。こんなに高度をさげてどうするのだろう。墜落《ついらく》しているのだろうか」
 博士も一時は首をひねったが、やがてある恐《おそ》ろしいことに気がついた様子だった。
「これはいけない。ひょっとしたら、X号は、ロケットを着陸させて、飛びおりるつもりかも知れないぞ、全速力で追撃せよ」
 宇宙航空船はいま、三千キロの全速力を出して、電光のようにサハラ沙漠の上空を飛びつづける。
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