ら、大急ぎであれを持って来ようと思って……」
 じつは山形警部は、博士に急を知らせにかけるつもりだったが、そういえないものだから、このようなうそをついたのである。
「ばか、おまえは命が惜しくないのか。もうそんなことをして、ぐずぐずしたりしているひまはないわ。どんなからだにはいっていても、命あっての物だねではないか。ぶじに地上へかえったら、からだぐらいはまたもとのように作ってやるよ」
 X号は警部を、なぐりつけかねないような気配《けはい》であった。
 少年たちも、さすがに弱ってしまったのである。X号にてむかっても勝目はないし、といってこの中に入りこんでは、みすみす死を待つばかりなのだから……
 その時、戸山少年は立ちあがって、X号のうしろの方を指さした。
「先生、それそこに、先生のからだにはいりこんだX号が……」
「なんだと……」
 サルのからだにはいったX号は、谷博士がほんとうに、この場にあらわれたかと思ったのだろう。ぎょッとしたように戸口の方へふりむいた。
 それが戸山少年の待ちかまえていたすきであった。少年はX号の腰へとびつくと、足をかんでX号をひっくりかえしたのである。ふいを打たれたX号は、もんどり打って穴の中へ落ちていった。
「それみんな、ふたをしめろ」
「それ」
 六人は、おどりあがって鉄のふたをしめ、かたくボルトでねじあげたのである。
「さあ、もしX号が出て来たら、火焔放射器で攻撃するんだ。ぼくはすぐ先生のところへ知らせてくる」
 戸山君は、廊下をまっしぐらに、もとの操縦室へかけこむと、床に倒れていた博士のからだをだきおこし、はげしくゆすぶって叫んだのである。
「先生、先生、しっかりしてください。ぼくです。戸山ですよ……」
 やがて博士はぱっちりと目をひらいた。
「ああ、戸山君か。ここはどこだね」
「先生、大丈夫《だいじょうぶ》ですか。ここは地上二万五千メートルの高空、宇宙航空船の中ですよ」
「ああ、そうだった。頭がずきずきいたんで仕方がないが、X号はどこにいるんだ」
「一階の最後部の部屋の穴の中へ、おとしこみました」
 博士は頭のいたみも忘れて、おどりあがって喜んだ。
「しめた。それでX号もこんどこそ完全に運のつきだぞ。あの下は小型ロケット機の内部なんだ。よし、あれを外部に発射してやろう。戸山君MLQと書いてあるスイッチを切ってくれ」
「こうですか」

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