頃三十キログラムほど納入され唯今彼の許で試験をすることになっているから、これを持ち出して使えばよい。彼はその金属ソジウムを一度に爆発させるため、別に溜めて置いた水を一時にザブリと懸けようと思った。しかも直ぐ爆発するのは困るから、或る一定時間すると、自然に水槽の底が外れて、ザブリと金属ソジウムにかかるようにしたい、それには、砂時計の砂を水に代えたような仕掛けにし、水が少しずつ上部の容器から下部の容器に落ちて溜ってくる、するとこの下部の容器を水洗便所の水槽のようにし、或る水量の水が溜ったところで底が外れるようにし、更にその下の第三層に一ぱい詰めこんである金属ソジウムの函《はこ》にこの水が一度に懸るようにすればよい。
 それに、これは全く奇想天外の名案だと思うが、この一切の装置を、お葬式に使う花筒のなかに仕掛けるのだ。どうせ、明日は、叔父の一家は総出でお葬式の手伝いに出かけてゆくだろうから、自分ひとりが留守番にのこることになろう。そのとき榊の花筒の一個を特別に残して置いて貰って(これ位の頼みなら、叔父叔母はたやすく叶えて呉れるにきまっている。いけないと云えば、金を出して買いとることにしてもよ
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