て、
「博士、そういう大噴火の後に来るものは? それはいったい何です。早く聞かせてください」
「……」
博士は、無言で立ち上った。このとき博士の顔面から、血の気が、さっと引いた。
「どうしたのですか、北見博士」
「ああ――」
博士は、うめいた。
「おお、これは大きいぞ。大地震の襲来だ。さあ、あなたがたは、すぐ避難せられたらよかろう。とうとう、恐るべきものが、大徴候を投げつけたぞ」
そういって、博士は、よろよろと足を踏みしめ、戸口の方へ歩いていった。
戸口を護っていた警官が、おどろいて博士を押し戻した。
「なにをする。貴公も、早く避難することじゃ」
「ごまかして、逃げだそうとしても、そうはいきませんぞ。元の席へ、おかえりなさい」
警官は、腕を突張って、博士を叱りつけた。
そのときであった。
床が、ぐらぐらと持ち上った。
「ああっ!」
一同が愕く間もなく、床は、またすーっと下におりた。
「地震らしい。へんな地震だ」
そういっているとき、気持のわるい地鳴りが、人々の耳をうち、そしてその音は、しだいに大きくなり、やがて、どーん、どーんと、巨砲をうちでもしたような音とかわった。
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