るぞと、私は深く心に期するところがあった。そしてそれからは毎日のようにH街に出ばって眼を光らせた。
もちろん珠子からの手紙は、その翌日も、その翌々日も、それからずっと後になっても、遂に来なかった。またH街の監視も一向効果がなく、珠子たちの姿を一度も見付けることができなかった。
それから相当たっての或る日のこと、私の許へ一通の無名の書状が届けられた。私はそれと見るより、この書状の中に、私の求める重要なニュースが書きつけられてあるのを察することができた。
開封してみると、それは果して怪しい文書であった。全文は、邦文タイプライターによる平仮名書であった。その文に曰く、
“やみかわ[#「やみかわ」に傍線]、きちんど[#「きちんど」に傍線] に けいこくする。こみや[#「こみや」に傍線]、たまこ[#「たまこ」に傍線] は、きみのうつくしいあしを、わかみや[#「わかみや」に傍線]、どんちき[#「どんちき」に傍線] よりかいとった。そしてそのあしは、かのじょのかねてあいするおとこへささげられた。こんごゆだんをすると、とんでもないことになるぞ。はやみみせいより”
予感は適中した。珠子は私の脚を
前へ
次へ
全35ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング