か現場よりの報告は来ないか」
「はい。あれきりです。新しい報告はまだ一つも入りません」
「そうか。ふうむ」
 そういっているとき、無電配電盤に、ぱっぱっと、監視灯がついたり消えたりした。
「おや、第四斥候隊が、こっちを呼んでいるぞ。これはめずらしい」
「えっ、第四斥候隊それにまちがいがないか。今まで、何のしらせもなかった第四斥候隊か」
 艇長は、席を立って、無電員の傍へやってきた。だが無電員はそれにへんじをしなかった。彼はむちゅうになって、無電をうけて、その電文を紙の上に書いているのであった。ああ、それはまちがいなく第四斥候隊からの始めての報告だった。
 辻中佐は、いそがしそうにうごく無電員の手の間から、次のような電文を読みとった。
“第四斥候隊報告。わが隊は、すこし考えるところありて、火星人隊発見まで、電波を発射しないことを定めおけり。そのわけは、電波を発射せば、火星隊のために、かえってわが隊の所在をしらせることをおそれたるがためなり”
「なるほどなるほど」
 艇長はうなずいた。
 報告書は、なおその先があった。
“……わが隊は、アメ山より、対《むか》いのヒイラギ山のかげに火星人の乗
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