大宇宙遠征隊
海野十三

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)噴行艇《ふんこうてい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)艇長室|附《つき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)そのよ[#「よ」に傍点]がいけない。
−−

   噴行艇《ふんこうてい》は征《ゆ》く


 黒いインキをとかしたようなまっくらがりの宇宙を、今おびただしい噴行艇の群が、とんでいる。
「噴行艇だ!」
 噴行艇といっても、なんのことか、わからない人もあるであろう。噴行艇は、ロケットとも呼ばれていた時代があった。飛行機は、空をとぶことができるが、空気のないところではとべない。しかし噴行艇は、空気のないところでも、よくとべるのだ。艇尾《ていび》へむけ、八本の噴管《ふんかん》から、或る瓦斯《ガス》を、はげしく噴《ふ》きだすと、そのいきおいで、艇は前方にすすむのである。艇尾には、舵《かじ》があって、これをうごかすと、とびゆく方向は、どうでもかわるのであった。大宇宙をとぶには、飛行機ではとてもだめであるが、この噴行艇なら、瓦斯のつづくかぎり、大宇宙をとぶこ
次へ
全115ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング