っとすぐれた頭脳の持主であるといわれる火星人と闘うのであるから、これは一大覚悟を要することだった。
 艇員の顔は、曇る。同胞が今危難に苦しんでいるのだと思うと、胸がしめつけられるようであった。
 どうなるであろうか、この戦闘は。
 月世界の上の大乱闘の末、もしアシビキ号の乗組員が一人のこらず火星人のためにたおされてしまい、その上に噴行艇さえ奪われてしまうようなことがあったら、これは一大事である。それは大宇宙遠征隊のために一大事であるばかりか、ひいては地球人類のために一大事であった。なぜならば、火星人は、地球人類を見くびって、それからさき、どんなことをむこうからしかけてくるかわかったものではない。
 だから、ここでわが地球人類は、どんなことがあっても、火星人に負けてはならないのであった。いま辻中佐の頭の中には、とっさに、あれやこれやと策略が渦《うず》まいている。どの作戦をとりあげたら、火星人をうちまかすことができるであろうか。
 もっと、火星人の様子が知りたい。火星人がどんな風に出てくるのか、それを知りたい。それが分らないかぎり、こっちからうつべきよい手が考えられない。
「おい無電員、何
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