いことがあるよ。君は気がつかないか」
「え、もっとふしぎなことって。それはどんなことだい」
「それはねえ……」
 と、三郎はいいかけて、ちょっとことばをのんだ。それは三郎としても、いいだすのにちょっと勇気がいることだった。
「早くいいたまえ」
 と、木曾がさいそくした。
「……そんならいうがね。ねえクマちゃん。この月の世界には、生物はすんでいないはずだろう」
「そうさ」
「ところが、この缶詰の空き缶のころがっているところをみると、何者かがこの月にすんでいると考えられるのだ。つまり、この缶詰をあけてたべた奴《やつ》こそ、月にすんでいるふしぎな生物なんだ」
「気もちがわるくなった」
 と、木曾は胸をおさえた。
「クマちゃん。だから、われわれはゆだんはならないよ。こうしているときも、いつどこから不意に、月にすんでいる先住生物におそわれるかもしれない」
「はあ、いよいよ気もちがわるくなった」
「早くひきかえして、みんなにこの空き缶をみせて知らせてやろうじゃないか」
「そうだねえ。だが、ちょっとお待ちよ」
「なにを待てというの」
「いや、ちょっとお待ちよ。三ぶちゃん。君は、ぼくをおどかそうと思っ
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