うに、左右へ長々とのびてつづいていた。ちょっと見ると、月の世界は光の帯のように見えるのであった。月は丸いものと思っていたのに、これはふしぎな見え方をするものである。
しかし、よく気をつけてみると、噴行艇のま下にある黒いところは、やはり月の陸地であった。空も黒いけれど、そこには、たくさんの星が、きらきらとうつくしくかがやいていた。しかるに、噴行艇のま下は、黒いだけで、星は見えなかった。星は見えない黒い塊《かたまり》こそ、月の陸地であった。
まぶしい光の帯に見えるところには、太陽の光があたっているのであった。太陽のあたらないところは、墨でぬりつぶしたように、真黒であった。これが地球であると、昼と夜との境の陸地はうすぼんやりとあかるく見えるのであるが、それは空気があるため、太陽の光がちらばって、うすぼんやりあかるく見えるのであった。しかし月には空気がない。だから、太陽のあたるところはあかるく、あたらぬところはまっくらで、その境目は、たいへんはっきりしている。昼と夜としかないのが月の世界であった。暁《あかつき》だの夕暮だのぼんやりと明るいときはない。
だから月の世界は、あれはてたように見
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