した。飛行機の腹にぶらさがっている五十キロの爆弾のことをいおうと思ったのです。
とにかく、三郎のふくらませる風船は、三郎の顔よりも大きくなり、よく出来た西瓜《すいか》ぐらいの大きさとなった。
そこで三郎は、ゴム風船の口をきつく結んで、手のうえで、ぽーんとついてみた。まん丸い見事な風船は、ふわーっと上へとびあがって、天井についたが、こんどは上からおちてきた。
ぽーん、ぽーん、ぽーん。
風間三郎は、いい気になって、風船をついていた。大宇宙をとんでいることも何も、すっかりわすれてしまったようであった。
そのうちに、とつぜん奇妙なことが起った。ぽーんとつきあげた風船が、すーっと天井にのぼっていったが、そのまま天井に吸いついたようになって、いつまでも下へ落ちてきそうでない。
(これは、へんだな)
三郎の身体が、このとき、急にかるくなり、そしてかるい目まいがした。
その次の瞬間であった。
じりりん、じりりん、じりりん。
警報ベルが、けたたましく鳴りだした。
「重力装置に故障が起った。修理に、五分間を要す」
ベルが鳴りやむと、そのあとについて、高声器から当直の声がきこえた。
重
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