全火星人も、このアシビキ号の好意を謝して、大変な歓迎をする様子だったけれど、先をいそいでいるアシビキ号は、あの月世界探険隊長の火星人と再会を約し、すぐさま、本隊を追って出発することになった。
「出発!」
辻艇長の命令一下、噴行艇アシビキ号は、休む暇もなかった火星に別れをつげた。そして大宇宙の中を真一文字《まいちもんじ》に、本隊を追って猛進また猛進を続けつつあった。
かくして大宇宙の中を突きすすむこと実に五ヶ年!
目的のムーア彗星に到着する間際《まぎわ》になって、アシビキ号は、漸《ようや》く本隊と合体することが出来た。この五ヶ年という長い間、ただ一機で大宇宙を突破して本隊に追いついた、ということは、司令艇クロガネ号にある大竹中将の指揮と、アシビキ号の辻中佐との一糸《いっし》乱れぬぴったりと呼吸《いき》の合った賜物《たまもの》だった。
それにしても、未だ人類の想像も及ばなかった大ムーア彗星へは?
ムーア彗星の周囲は、まだ混沌《こんとん》漠々たる濃密な大気に閉ざされていた。すでに、勿論《もちろん》ここから見る太陽は、夜空にきらめく一点の星のようなものであったが、しかしこのムーア彗星
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