て行った。
そこへ、無電員が、受信紙を持って来た。
“第四斥候隊報告。わが隊は只今火星の中部地方に安着せり。指揮を待つ……”
「よし! 本艇は目下火星へ向って急行中だと伝えろ」
噴行艇アシビキ号は猛進に猛進をつづけていた。火星技術員の機械技術は思ったより優秀だと見えて、なかなか好調だった。
「なかなか好調のようであります。実は、火星人などに機械をいじらせてどうかと心配しておりましたが」
幕僚が、辻艇長にそっといった。
「いや、彼らもこの噴行艇をしっかり直さなければ、自分たちも火星へ帰れんわけじゃからな。しっかり直す筈じゃよ、はっはっは……」
辻中佐は、はじめて愉快そうに笑った。
大団円《だいだんえん》
さて、アシビキ号は間もなく火星に安着すると、そこであのふしぎな皿のような火星の乗物に連れて来られていた第四斥候隊の隊長鳥原彦吉以下全員と、風間三郎、木曾九万一の両少年を収容し、月世界に取りのこされた火星人を降《おろ》した。風間、木曾二少年の喜びも大きかったけれど、荒れ果てた月世界に、も少しで取りのこされるところを無事に帰れた火星人たちの喜びも非常なものだった。
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