をしているね」
「いや、これは鎧《よろい》を着ているんです。私たちの身体は、火星の弱い引力のために、地球の人に比べたら非常に柔らかく出来ているので、こういう鎧を着ているわけです。
この羽根《はね》は一人一人の飛行機のように、飛ぶためのものですよ、簡単な、しかし強力な動力装置がこの羽根の下についているんです」
「ふーむ、しかし我々がこうしているんだから、君も鎧をぬいだらどうだね」
 幕僚がいうと、
「駄目です、駄目です、この司令室は地球と同じ気圧になっていますから、私がこの鎧をぬいだら一ぺんで参《まい》ってしまいます」
「あっ、そうか、では仕方ないな」
 そういっている所に、艇夫長の松下梅造がかけ足で帰って来ると、パッと挙手の礼をして、
「火星人部隊の協力によって、ただいま本艇の修理が完了いたしました」
「そうか、ご苦労」
「では、直ちに出発じゃ、火星へ向って出発! それから司令艇クロガネ号へ連絡をとって、アシビキ号は修理完了、ただちに本隊に追行することを報告しろ」
 噴行艇アシビキ号は、すぐ様、猛然と出発をした。非常に好調だった。離陸したばかりの月は、見る見るうちに小さくなって遠ざかっ
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