のそばには、アロタス大星雲がギラギラと輝いていたので、ムーア彗星の世界は、地球の二倍ぐらいの明るさだった。
 大宇宙遠征隊の隊員は、全員とも気密塗料を塗った宇宙服をつけた。その宇宙服の眼のところには、あたりの明るさに眼をやられぬように、濃い色のついた遮光硝子《しゃこうガラス》がつけられていた。
 が、それよりも何よりも、このムーア彗星に降りて第一歩を印した隊員が愕《おど》ろいたのは、この大彗星が地球の数十倍もある巨大なものだったし、質量も大きかったので大変な重力であり、そのままではあまりに身体が重く感じ、殆《ほと》んど立っては歩けぬ、ということだった。大の男たちが、赤ん坊のように、ようやく這《は》って歩くような始末だった。
 月世界で、あのちょっと跳ねると、ふわっと飛んでしまう身軽さを知っている風間と木曾はびっくりしてしまった。
「おどろいたね、三《さ》ぶちゃん」
「なんだか、身体中が鉛になったみたいだね、うっかりしていると地面に貼《は》りついてしまうぜ」
「うーん」
「そうだ、クマちゃん、辻艇長の特別スイッチを入れろ!」
「そうだ、アッ、らくになったぞ」
 この辻艇長の特別スイッチと
前へ 次へ
全115ページ中113ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング