太刀川は生きていた
さて話は元にもどって、海魔灘の渦巻にまきこまれて、海上から姿をけしさった太刀川時夫は、どうしたことであろうか。また、潮に流されながら時夫にたすけをもとめていた石福海少年は、どうなったことであろうか。
がんがんがんがん。がんがんがんがん。
鉄をたたいているような物音である。
「あ、やかましい。耳がいたいじゃないか」
太刀川時夫は、夢心地でつぶやいた。
ぽとり、と、つめたいものが、時夫の襟もとにおちて、せなかの方にまわった。
「ああ――」
そこで、太刀川時夫は、やっと気がついた。
「はて、ここはいったいどこだろう」
あたりをずっと見まわした。
そこは、コンクリートでかためた四角な空井戸の中のようなところだった。壁はびしょびしょに水でぬれている。ふしぎなのは、時夫のいる床だった。あらい鉄格子でできている。がんがんがんというものすごい音は、鉄格子の下からきこえてくるのだった。
電灯らしいものもないのに、この室内は鉄格子の下からぽーっと青白い光がさしていて、物の形がわかる。よく見ると、壁にその青白い光の横縞がいくつもあり、天じょうの方までつづい
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