ていた。後になってわかったのだが、この光は深い海にすむ夜光虫をよせあつめた冷光灯であった。
太刀川時夫は、この気味わるい光のなかに立って、手足に力を入れてみた。たしかに力がはいる。しかしそれでいて、自分は生きているのか死んでいるのか、どうもはっきりしないのであった。そこでしきりに記憶をよびおこした。
(――おそろしい大渦巻にすいこまれて――そうだ、石福海が、その前にたすけをもとめていたが――自分はあのまままっくらな海中にひきずりこまれて、息がつまりそうになったが、――それから、なんだか竜宮のように、美しい室を見たようにおもったが――そのうち体がくるくるとまわりだして、なにもかも見えなくなってしまった。それから……)
それから、さあそれから――それから後はわからないのだ。
「僕は、生きてはいるのだ!」
時夫は、両の腕を、こつこつとたたきあわせて見ると痛い。たしかに生きている。
「生きてはいるが、ここはどこだろうか」
まるで牢獄みたいな奇怪な室だった。
潜水艦の中かしらん?
こんな大きな室をもった潜水艦はない。では、どこか島の地下室であろうか、それとも窟《いわや》の底であろうか
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