遭難者たちの声が、相変らず、もの悲しく聞えていた。


   おそろしい渦


 波は、いくらか小さくなったようだが、急に黒っぽさをました。
 闇が身近にせまって来ると、石少年は、心細くなったのか、
「先生、わたし一晩中、泳ぎつづけても、大丈夫あるが、夜、何だかこわいよ」
 といいだした。
「だまって[#「だまって」はママ]、おまえは目がわるくて、二メートル先も、よく見えないのだろう。じゃ、夜だって昼だって同じことじゃないか」
「それ、ちがう、さっきの海魔、わたしの足くわえ、海の底、ひっぱりこむような気がする」
「はっはっはっは……何のことかと思ったら、それか。ところが僕は、あの海魔に、もう一度会いたいと思っているんだよ」
 二人が、波にもまれながらこんな話をしている時であった。又も遠い海鳴のような音が、ごーっと聞えだしたかと思うと、とつぜん、闇の彼方から、
「あっ」
「あれ、あれ」
「きゃっ」
 という悲鳴。
「先生、あの声は?」
「うん、みんなの声だ。いよいよ出たか」
「え、何がです」
「心配するな、何でもないよ」
 そういってる間に、おびえきった声が、右の方からも左の方からも聞え
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