かう
太刀川青年は、石少年の手をとったまま、水をけって、水面へ浮かび出た。
飛行艇は、その時、背中を半分ほど海面にあらわし、プロペラを夕空に高く、つき出していたが、ずぶずぶと、大きな姿を没して行く。
艇員や乗客たちが、たがいに呼び合う声が、波の音、風の音にまじって聞える。
「ダン艇長は?」と、あたりを見まわしたが、いくつもの頭が、波のまにまに見えるだけで、誰がどこにいるのかわからなかった。
「ぷーっ」
石少年が、のんでいた水をふきだした。
それを見て、
「おお、石福海、おまえは、どのくらい泳げるか」
太刀川はきいた。
「泳ぎ? 泳ぎなら、百里は、大丈夫ある。わたし生れ香港、五つの時から泳ぎおぼえた」
石少年は、立泳ぎをしながら、こんなのんきな返事をした。
「なに、百里? あきれた奴じゃ」
太刀川は、思わず笑って、石少年の顔を見た。
波はまだ大きい。
西の水平線に、しずみかかった太陽が、海面を金色にそめているのが、かえってものすごかった。
クリパー号は、もう波間にのまれてしまって、そのあととおぼしいあたりに、乗客たちの持ち物が、ただよっている。
耳をすますと、
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