た。風のあたる面積が太刀川青年の体にくらべて、倍くらいもひろいのだからやりきれない。海底にもぐっては、いささか自信のある潜水将校リーロフも、空中ではからきし、いくじがない。
そのうちに太刀川の頭が、まがった方向舵にこつんとつきあたった。
十分ののち
暴風雨中のこの大冒険を、艇員や乗客は、操縦室、そのほか方向舵の見える場所に、顔をおしつけあって、どうなることかと見まもっている。
太平洋委員長ケレンコも、ピストルをにぎりなおして、艇員を見はっていながらも、やはりリーロフの身の上が案じられて、ともするとその注意力は、艇外にゆきがちであった。
それを待っていた者があった。
艇の後部にいて、さっき電話機で艇長とうちあわせた艇員の一団であった。彼らは、ひそかに操縦室の入口にせまり、ケレンコの前に両手をあげて、つったっている仲間たちの肩ごしに、ケレンコの様子をじっとうかがっていたのだ。
うちあわせた十分間は、もうすぎていた。
その中の一人、貨物係主任のレイという男が、この時うしろにむかって片手をあげた。
(おい、用意はいいか)
という合図だった。
レイの片手が、さっと
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