席の足にしばりつけた。そして自分で窓をひらいた。艇員たちが、はっと顔色をかえるのをしり目に、さっさと艇外へはいだした。とたんに横から、張板のようにかたいはげしい風が、彼の体をぶんなぐった。飛行眼鏡さえ、もぎとられそうで、しばらくは目が見えなかった。風にあおられ、ぐーっと、体がもちあがるのを、一生けんめいにこらえて、胴体の上にうえつけられている力綱の輪をにぎる。
 この力綱の輪は、胴体のくぼみに、はめこまれて、一列にならんでいるので、太刀川は、腹ばったまま、少しずつ前進しては、くぼみから、この力綱の輪をおこさなければならなかった。そして両手ばかりではなく、両方の足首も、この輪のなかにしっかり、かけておく必要があった。
「ひゃあ――」
 というようなさけび[#「さけび」に傍点]声が、太刀川のうしろからきこえた。ふりかえってみると、大男のリーロフが胴体にしがみついて、はげしい風にふりおとされまいとして、力一ぱいたたかっている。
「おい、はやくこーい。この弱虫めが!」
 太刀川は、リーロフをどなりつけた。
「うう、いまゆくぞ。なにくそ!」
 風は、大男のリーロフにたいして、すこぶる意地わるだっ
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