ってしまったことも、その一つだった。
 艇長が電話の受話器を通じて、何を聞いたか。「あと十分ののちに!」とは、なんのことであったか。それもまた、やはり太刀川の計画の一つだった。今や、その十分間の時間も、あと四、五分となった。それにしても太刀川が、リーロフの手から、たすけてやった中国人少年石福海は、今どこに何をしているのだろう。このさわぎがはじまってから、一度も姿を見せないのには、何かわけがありそうである。
「さあゆこうぜ、リーロフ」
 太刀川は、顔色もかえず、大男のリーロフをかえりみていった。
「うん、ゆけ。貴様がさきへ」
 リーロフは、注意ぶかい目つきで、太刀川の方にあごをふった。
「僕は鋼条《ワイヤ》とペンチを持つ、リーロフ、君は手斧だ」
「おれが手斧を持つのか。うふふふ。それはたいへんいいことだ」
 リーロフは、意味ありげに笑った。斧の刃は、するどくとがれていて、切味がよさそうなのが、何だか不気味である。
「リーロフ、さあ、僕につづいて、すぐその天井の窓から、胴体の上へはいだすんだ」
 翼のうしろに開く窓があった。そこから艇の胴体の外へ出られるのだった。太刀川は、ロープのはしを座
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