まった。
太刀川が、腕をくんで思案にくれている時である。
部屋のすみっこに積んである空樽が、人も鼠もいないのに、ぐらぐらとうごきだした。
秘密のぬけ穴
うごきだした樽は、ひょいと横にのいた。すると、そのあとにあいた穴から思いがけない人の顔があらわれた。まっくろな顔だった。原地人だ!
原地人は、穴から出て来ると音をしのばせて、こっちへはいだした。と思うと後をふりかえって、手まねきをするようであった。すると、また一人、その後からあらわれた。長いひげをはやした東洋人の顔。
つづいて、第三の顔があらわれた。これは白人だ。
その時であった。太刀川時夫が気がついて、がばとはねおきたのは。
彼は、とつぜん身近に、人の気はいがしたので、はねおきて、その方をじーっと見つめた。すると、天からふったか地からわいたか、部屋のすみっこに三つの思いがけない顔が、こちらを見ている。
「あ、ダン艇長」
と、太刀川はひくくさけんで、ベッドから立ちあがった。
ダン艇長! そうだ、その白人は、ダン艇長にちがいない。他の二人はいうまでもなくロップ島の酋長ロロと、あの手品のうまいクイクイの神様
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