ろをききもらしていた。だからじっさいは、太刀川の考えた以上の大艦隊であった。それを、わずか十二隻の恐竜型潜水艦でむかえうとうというケレンコの自信は、おどろくのほかない。
「しまったことをしたなあ」とケレンコは、つぶやくようにいった。
「恐竜にのっていりゃ、海上の様子も、テレビジョン鏡で手にとるように見えるのだが、……今から恐竜にのりうつることもできない。あと十分でアメリカ大艦隊とぶつかるというどたんばに来ては――」
「え、アメリカ大艦隊?」
 太刀川は、思わず口をすべらしてしまった。
「なんだ」
 とケレンコはいった。
「貴様は、また酒をくらって酔っぱらっているんだな」
「いえ、酒などは……」
「なに、わかっとる。そうでなくて、今ごろ、あれはアメリカ大艦隊ですかもないじゃないか」と、つい本気でどなったが、そのあとで、気づいて「ふふふふ」とうす笑をした。
(いや、どうもリーロフの服をきているものだから、ついまちがえてはいけない)
 ケレンコは、太刀川が、にせ[#「にせ」に傍点]者であることは、はじめからちゃんと見ぬいていたのだ。
 太刀川は、アメリカ大艦隊が、西へいそぐと聞いて、これは、
前へ 次へ
全194ページ中150ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング