やく、にげだすことはできない。海藻のかげにかくれたとしても、大だこ[#「だこ」に傍点]の頭のような潜水兜からは、たえずぶくぶくと空気のあぶくが上にのぼってゆくので、すぐ敵にみつかってしまう。おまけに、リーロフ大佐のひきつれた潜水隊員の中には、水中機関銃などという水の中で、弾がとびだす兵器をもった奴がいるから、これでうたれればおしまいである。
「おい、みんな、そいつをいけどれ。そして潜水兜をぬがして、顔をみてやれ。そうすれば、先生め、きっとおもしろい顔をして、おれたちを喜ばせてくれるだろう。あっはっはっ」
リーロフは、まだ酒の酔いが、ぬけきらないためか、すこぶるごきげんであった。
だがこの深い海の底で、潜水兜をぬがされてはたまったものではない。せっかくここまで来たのにと思うと、太刀川の胸は、ざんねんさで、はりさけんばかりだった。
「おとなしくしろ」
「副司令の服なんか着こんで、ふとい奴だ」
潜水隊員は、口々にわめいて、四方から太刀川におどりかかった。
(よし、来い)
と、太刀川が決心してたち上ったが、とたんにある考えがひらめいた。「そうだ」とつぶやくと、まるで猫の子のようにおとな
前へ
次へ
全194ページ中126ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング