よ。それを撃沈する法はないと思います」
 副司令は、いつに似合わず、はっきりといった。
「だまれ!」ケレンコは怒った。
「軍艦であろうと同盟国の船であろうと、わが海底要塞をうかがおうとするものに対しては、容赦はないのだ。つまらぬ同情をして、せっかくこれまで莫大な費用と苦心をはらってつくったこの海底要塞のことがばれようものなら、日本攻略という我々の重大使命はどうなるのだ。なんでもかまわん、やってしまえ」
「ケレンコ委員長。さしでがましいですが、イギリスの商船のことは、もう一度考えなおしてくださらないですか」
 副司令の顔には、なぜか必死の色が浮かんでいた。
「くどい。太平洋委員長兼海底要塞司令官たるわしの命令を、君は三度もこばんだね。よろしい、おい、ガルスキー。司令官の名において、今日、ただ今かぎり、副司令の職を免ずる。直ちに自室へ引取って、追って沙汰のあるまで待て」
「え、副司令を免ずる。そ、それはあまりです。もし、ケレンコ閣下、それだけは」
「くどい。おいそこの衛兵。ガルスキーを向こうへつれてゆけ。そしてリーロフを呼べ」
 ガルスキーは、とうとう腕力のつよい衛兵のために、むりやりにつ
前へ 次へ
全194ページ中111ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング