は後にして、説明をしたがいいじゃないか。お前は、すぐ腹を立てるから、立身出世《りっしんしゅっせ》が遅いのじゃ」
主席に、一本きめつけられ、油学士は、はっと吾れにかえったようである。
「はっ、これは恐縮《きょうしゅく》。で、その秘術は、かようでございます。只今申した極秘の電波を人造人間隊にかけますと、その人造人間隊は、たちまちソノー、主席はフットボールを御覧になったことがございますか」
「余計なごま化《か》しはゆるさん」
「ごま化しではございません。フットボール競技に於て、さっとプレーヤーが、さっとスクラムを組みますが、つまりあれと同じように、人造人間が、たちまちスクラムを組むのでございます。そしてたちまち人造人間のスクラムによって、一台の戦車が組立てられまして、こいつが、轟々《ごうごう》と人造人間製のキャタピラを響《ひび》かせて前進を始めます。いかがでございますか。これでもお気に召しませんか」
3
醤主席は、今や極上々《ごくじょうじょう》の大機嫌《だいきげん》であった。
彼は、毎朝早く起きて、砂漠の下の防空壕《ぼうくうごう》を匐《は》いだすと、そこに出迎えている
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