、実に、人造人間にして、且つ又、戦車であるのであります」
「余《よ》には、さっぱり意味が分らん」
「つまり、ソノ金博士の申しまするには、ここに百人から成る人造人間の一隊がある」
「ふん。人造人間隊がねえ」
「この人造人間隊が、隊伍を組んで、粛々前進してまいります。お分りでしょうな」
「人造人間隊の進軍だね」
「はい。このままで放って置けば何日何時間たっても、遂に人造人間隊でございますが、必要に応じて、司令部より、極秘《ごくひ》の強力電波をさっと放射いたしますと、これがたちまち戦車となります」
「そこが、どうも難解だ。極秘の強力電波を放射すると、なぜ人造人間隊が戦車となるのか。お前の話を黙って聞いていると、まるで狐狸《こり》の類《たぐ》いが一変して嬋娟《せんけん》たる美女に化《ば》けるのと同じように聞える。まさかお前は、金博士から妖術《ようじゅつ》を教わってきたのではあるまい」
 醤主席の言葉は、油学士の自尊心を十二分に傷つけた。
「どうもそれはけしからん仰《おお》せです。かりそめにも、科学と技術とをもってお仕《つか》えする油学士であります。そんな妖術などを、誰が……」
「ぷんぷん怒るの
前へ 次へ
全23ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング