早く見たいぞ。見て、まず安心をしたいのじゃ」
「はい。では、スイッチを入れましょう。まず第一のスイッチでは人造人間がばらばらと寄り、見事なスクラムを組んで戦車と化します」
「早くやれ!」
「では、――」
 スイッチが入った。人造人間部隊は、その瞬間にさっとどよめいた。
 がちゃがちゃがちゃん――と、まるで長い貨車の後から、機関車がぶつかったときのような音がした。と、なんという奇観《きかん》、人造人間は、吾《わ》れ勝《が》ちに、身体を曲げて車輪になるのがあるかと思うと、四五人横に寝て、鋼鈑《こうばん》となるものもある。それがたちまちのうちに折り重《かさな》って、びっくりするような立派な戦車に組上《くみあが》ってしまった。
 ああ、一万台の人造人間戦車隊の出現《しゅつげん》!
「うーむ」
 醤主席も、これにはよほど愕《おどろ》いたと見える。
「では、この辺で、いよいよ第二のスイッチを入れ、かの人造人間戦車に、全速力進撃を命じ、蹂躙《じゅうりん》させます。よろしゅうございますか」
 醤主席は、まだ咽喉《のど》から声が出てこないので、黙って頷《うなず》いた。
「では、只今、第二のスイッチを入れ
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