やあ、いつ見ても、ええものじゃのう)
主席は、心の中で、すこぶる満足の意を表《ひょう》するのであった。
そこには、出来たばかりの人造人間が、ぴーんと硬直《こうちょく》したまま、ビールの空壜《あきびん》を積んだように並べられてあった。実に、世にもめずらしい光景であった。
「おい。油学士。この人造人間は、もううごくようになっているか」
「いや、まだでございます」
「なんじゃ。うごかないものを、どんどんこしらえて、どうするつもりか」
「すべて合理的な能率的なマッス・プロダクションをやって居りますです。人造人間をこしらえるときには、人造人間だけをつくるのがよいのであります。主席、どうか製作に関しては、いつも申上げるとおり、すべて私にお委《まか》せ願いたいものです」
「それは、委せもしようが、しかしこんなに一時に作っても、これが万一やりそこないであって、さっぱりうごかなかったら、そのときは一体どうするのか。百万台をまた始めからやりかえるのは困るぞ。それよりも、一台の人造人間戦車に必要な各部分を一組作りあげ、それで試験をしてみて、うまく動いてくれるようになれば、次にまた第二の戦車を一組作るとい
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