ジオでおどかすのが一番いいとおもう。どうだ、お前一つ臨時放送局となって、日本国民をびっくりさせるような放送をやってみる気はないか」
「いや、僕はバナナよりも林檎《りんご》の方がすきです」
「おかしいぞ、へんなことをいいだしたな。どうもこっちへきてから人造人間をつかいすぎたせいか、ときどき故障がおこるのには閉口《へいこう》じゃ。どれ、ちょっとしらべてやろう」
イワノフ博士は、人造人間エフ氏のそばへより、いきなりエフ氏の右の耳に手をかけると、ぐっと下にひいた。すると、なぜかエフ氏は、ラジオ体操をやるときのように、両足を左右へひらき、両手を水平にぱっとのばした。そして両眼《りょうがん》を閉じた。それは人造人間エフ氏をうごかす電気のスイッチを切ったのである。エフ氏の耳がスイッチだったのである。
博士は、エフ氏のそばによって、エフ氏が着ている正太君とおなじ洋服のボタンをはずして、腹をあけた。それから一つの鍵を出して、エフ氏の臍《へそ》の穴につきこみ、これをぐっとまわしてひっぱると、腹の皮がまるで扉のように手前へひらいて、腹の中がまる見えとなった。
――といっても、腹からは血がながれてくるわ
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